5月23日(日)禍根
日本経済春秋が面白い。『近年、再注目が進む作家に小松左京さんがいる。ウイルスで人類が滅亡しかける「復活の日」。米国が特殊な技術で国境に壁を張り巡らす「アメリカの壁」。大災害と向き合う哲学を示す「日本沈没」――。文明や歴史に造詣が深い小松さんの作品は予言の書でもある。
1968年発表の「見知らぬ明日」では、まだ閉ざされた中国奥地に宇宙人が襲来する。思想やメンツが邪魔をして人類の危機に即応できない政治の姿がリアルだ。東京では海外で消息を絶った夫をまちながら、妻がこう思う。「また醜怪なエゴイズムが、社会的基盤むき出しになる」』
新型コロナのワクチン接種が各地ではじまり自治体の首長や職員優先接種した例が報道されて賛否割れているが事前に決めて無駄のない対応を説明しておけばエゴにならない。結びで不安と不信が混乱を呼び退避の妨げになっていく。緊急時こそ回り道なようでも公正と説明を大事にしたい。そうでないと、政治不信という禍根を残す。