6月30日(火)早気
弓道に「早気(はやけ)」という言葉があるということを日本経済新聞春秋で知った。なんでも、『弓を引いて十分な間合いをとらず矢を放ってしまうことをいう。昔から退治したい癖だった。仙台藩の弓の指南役を父に持つ若者と母の話を、東北大の元弓道部長の池沢幹彦名誉教授が「弓聖 阿波研造」という本の中で書いている。若者は遠藤時習(ときしげ)。早気がひどく、死別した父の後を継ぐ力がない。母は死をもって亡夫に謝るほかないと決める。わが子に、この母を射ておまえも自害をと説く。時習も覚悟し射場で弓を引き絞る。さすがに早気も影を潜める。まさに矢が弦を放れるかという瞬間、母の声があがった。「よし、その呼吸を忘れるでない!」』というから気迫が伝わってくる。春秋は、『閣議決定するアベノミクス第3の矢の成長戦略は政権下で3回目なこともあり、小粒な改革が並んだ印象だ。とにかく矢を次々放たなくては、と思っているかのよう。早気が心配だ』としていた。本日で、1年の半分「上期」が終わる。公務員のボーナスや政治家の資産公開など賑わっていた。
矢次早の対応も必要、間合いも当然必要な対策だ。わが子に『母を射ておまえも自害を』とは、気ばかり焦って集中できず的を外してしまうことのないようにと昔は悲壮な努力があったのだろう。さて、飲酒運転やマナー、さらに新幹線での自殺?など考えも及ばない事件が多い。しっかりと間をとり見つめ直す早気が必要かも。