7月8日(土)危機
『「危機」という言葉を分解すると、「危ない(ピンチ)」と「機会(チャンス)」になる。異なる意味の字が並ぶ。何か突発的な出来事により不安定な状況に陥ったとき、冷静に考えれば元に戻したり逆転したりできるのかもしれない。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉で、ワインの関税を双方が即時撤廃する見通しになり、一方、EUは日本酒にかけている関税もなくす方向。最終合意ではないが、日本の関係者は「危」と「機」のはざまで揺れている・・・・。』と過日の河北春秋。グローバル経済の下、日本の酒市場はどこへ行くのか。日欧経済連携協定(EPA)大枠合意のことである。発効すれば、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大経済圏が誕生する。だが、手放しで歓迎はできない。日本製乗用車や家電といった工業製品にかかる関税の即時、ないし段階的廃止が実現するにしても、高品質なEUの農林産物にも門戸が大きく開かれ安価で流入しかねないため、国内生産者らに不安が広がっているからだ、と日本経済新聞社説。それも頷けるのは、政府から交渉に関する情報の提供が一切なく、なぜこのような合意に至ったのか。また、どの分野にどんなプラス効果があり、農林業にはどんなマイナスの影響が及ぶのかなど不明だからだ。最近、発表後の説明や強引な手法で説明を丁寧にするという答弁の事例が多い。いったい、どうのような影響があるか、説明責任を行わなければならない。真摯な対応こそ支持率も上がる。そうでないと、「危機」そのものだ。