1月14日(水)福岡県大川市
午前8時10分に石巻市役所に集合し、福岡県大川市へ。寒いと思っていたが、福岡空港に着くと暖かい。飛行機が5分、電車と自転車の事故で西日本鉄道が遅れたが無事到着。着くや否や3階の議長室で永島守議長さんと懇談・挨拶。移動してテーマ『デジタルトランスフォーメーション加速化事業について』 。大川市は福岡県の南西部に位置し、九州一の大河、筑後川が市の西部から雄大な有明海へ流れているのが特徴。市内を延べ300kmにもわたる水路が縦横に走り、独特の景観を有している。 大川の歴史は、大川木工の歴史と言えるほど、木工業と密着してきたまちである。筑後川の河口にある大川市は、木材の産地、大分県の日田から川を下ってくる木材の集積地であり、有明海へ向かう海上交通の要衝として重要な役割を果たしてきた。大川市のDX推進の経緯と体制の背景と目的:は、2021年10月、総務省の「地域活性化企業人制度」を活用し、DMM.comと協働プロジェクトを開始。最大の目的は、大企業のノウハウを行政に取り入れ、縦割り組織に横串を刺し、全庁一体で課題解決に取り組むこと。初期の取り組み: 全庁を対象にヒアリングを実施し、課題を「地域DX(市民の利便性向上)」と「行政DX(職員の業務効率化)」に分類。デジタル窓口、スマート窓口、業務改革、ペーパーレス化をキーワードに推進した。推進体制:として職員中心の庁内DX推進チーム「チームDOX」やプロジェクトチームが定期的な会議でDXを議論。アドバイザーとしてDMM.comも参加し、コミュニケーションは主にチャットツール「Slack」を活用。予算と財源:について、令和3年から5年間で約1億円の予算規模で推進。当初はコロナ交付金、その後はデジタル田園都市国家構想交付金を活用し、市の負担を抑制している。DMM.comとの連携と成果は、主にDX計画策定、業務効率化(RPA導入)、コミュニケーション変革(チャットツール導入)、行政手続きオンライン化、シティプロモーション(メディア発信、企業版ふるさと納税)の5分野で連携。成果: DMM.comとの連携はDX推進のスタートとなり、ウェブ会議導入などを通じて職員の意識改革とモチベーション向上につながった。議会からも先進的な取り組みとして評価されている。契約形態:は、当初3年間は総務省の制度に基づき負担金を支払い、特別交付税で補填。派遣期間終了後は、DXアドバイザーとして業務委託契約を締結し連携を継続している。
地域DXの具体的取り組み(市民サービス向上)
LINE活用による情報発信と電子申請、情報発信手段としてLINE公式アカウントを導入。企業版ふるさと納税(3,000万円)を活用し、LINE内でマイナンバーカード認証と決済が完結する電子申請サービス(スマート公共ラボ)を共同開発。これは全国初の試みで、現在170以上の自治体に導入されている。大川市ではLINEから約40種類の手続きに対応。「出産・子育て応援給付金」では申請者の96%以上がLINEを利用し、市民・職員双方の負担軽減に繋がった。施設予約のオンライン化: 国の交付金を活用し、従来は紙提出のみだった施設予約をLINEで可能にした。ワンストップサービス(お悔やみ窓口): 死亡届提出後の複数課にまたがる手続きを一本化。事前予約制で、市民は一か所で待機し、職員が入れ替わりで対応する。これにより手続き時間が大幅に短縮される見込み。マイナンバーカード活用パンフレット: デジタルに不慣れな人向けに、マイナンバーカードでできることを分かりやすく解説したパンフレットを「チームDOX」が作成。行政DXの具体的取り組み(業務効率化)窓口業務: 接触回避のため、窓口手数料のキャッシュレス決済とセミセルフレジを早期に導入。業務自動化としてRPA: 当初は無料の「マクロマン」で財務会計システムの業務時間を82%削減。その後、全庁的な業務量調査(BPR)を経て、高性能な「WinActor」も導入。AI-OCR: 紙書類をAIでデジタル化し、RPAでシステム入力する仕組みを構築。ペーパーレス化とシステム導入。勤怠管理: 紙とハンコによる管理を電子化し、人事部門の集計作業を大幅に軽減。残業時間申請の電子化も時間削減に貢献した。議事録作成支援: 音声自動文字起こしツールを他自治体に先駆けて導入。課題: オンライン申請導入により、従来の紙媒体との「二重管理」が発生し、現場負担が増加するケースがある。今後は受付時点でデータを一元管理する仕組みへの移行を目指す。
DX人材育成と地域企業支援。職員向け研修として、若手職員中心の「DX推進リーダー研修」(2ヶ月間)を実施。リーダー研修受講者が主体となり、全職員向けのDX研修を実施。研修は、課題発見能力の向上と前向きな意識の醸成を目的としている。市民・企業向け支援としてDX人材育成講座: 市民(若者・女性)向けにプログラミング体験やデジタルマーケティング研修を実施。市内企業への伴走支援: 商工会議所等と連携し、SNS運用やRPAスキル習得、女性が活躍できる職場環境構築を支援。今後の展望と課題。フロントヤード改革: 地域DXと行政DXの取り組みを統合する「最終形」として、市民との最前線である窓口業務の改革を推進。AIが受付からデータ連携、審査までを行い、職員はサポートに回る計画を総務省に提出し審査中。今後のDX方針: ①行政DX、②市民向けDX、③町全体のDXの3ステップで推進。地域課題への対応として、交通DX: 市民アンケートで課題となった交通の利便性(鉄道がない)に対し、デジタルを活用した解決策を検討。GX:については、現時点ではDX推進に注力している。最大の課題は、 全職員のデジタルスキル向上と意識改革。民間企業に比べAIやデータ分析の活用が遅れているため、その普及を目指す。懸念として職員の思考力低下が懸念される一方、苦労して調査するプロセスが能力向上に繋がると。メリット:として新人からベテランまで職員間の対応レベルを均一化できる。本市においても、令和7年度から9年度を計画期間とするDX推進計画が策定され、今後の市政運営にあたっては大川市と同様に、行政サービスへのデジタル技術活用や、デジタル活用を前提に仕組みを最適化していく職員の意識改革などが求められる。