5月10日(火)共有
河北新報社説に「地方創生本格化へ/地域力地道に高めよう」が掲載されていた。内容は、『安倍政権の看板政策「地方創生」を本格化させる、総額1000億円の「地方創生推進交付金」の規定を盛り込んだ改正地域再生法が4月20日、施行された。国の主導で全自治体が策定し「地方人口ビジョン」と人口減対策の5カ年計画「地方版総合戦略」も3月末までにほぼ出そろった。「地域が主役になり、地域の可能性を引き出す」という安倍晋三首相の意気込みとは裏腹に、地方の側に高揚感はない。地域版総合戦略は国の手引書に沿って作られた。自治体の地域性や規模を問わず大差ない内容で、新交付金の施行に合わせた急ごしらえの印象が拭えない。雇用創出、移住・定住促進、少子化対策といった個別施策は、省庁の既存の支援メニューを並べ替えた域を抜けていない。 地方創生は、人口減少の歯止めと東京一極集中の是正を目標に掲げる。実現の道筋として、(1)地方における安定雇用の創出(2)地方・東京圏の転出入の均衡(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望実現-を挙げた。総合戦略の個別施策には数値目標が設定され、効果が検証される。石破茂地方創生担当相は、改正法を審議した衆院特別委員会で「お任せ民主主義からの脱却こそが肝要。やりっ放しの行政、頼りっぱなしの民業、無関心の市民が三位一体となれば、地方創生の成功はおぼつかない」と述べた。「知恵は現場にある」と続く石破氏の言葉は地方の自立を促しつつ、地方への責任転嫁にも移る。人口減が国政の最重要課題であり、自治体にとっても生き残りを懸けた「闘い」であることは論をまたない。ここに競争の論理が入り込むと様相は変わる。人口を「勝敗」の尺度とすれば、東北では仙台圏を除く大半の自治体が敗者になるだろう。地方創生の根底には「選択と集中」がある。平成の大合併にも似た自治体の淘汰が進むことを危惧する。安倍首相は、第1次政権の2006年度にも「頑張る地方応援プログラム」と銘打った地方活性化策を推し進めた。当時の総務相は現在の菅義偉官房長官だった。独自の活性化策に取り組んだり、出生率などの指標で成果が表れたりした自治体に交付金を上乗せする内容だった。自治体に競争を促す考え方は一貫している。気になるのは、いずれも政策を打ち出すタイミングが参院選や統一地方選が視野に入った時期にあることだ。
東日本大震災の被災地をはじめ、全国の自治体は急速な人口減、空洞化に直面し、あらがっている。今、自治体が取り組むべきは、地域力を地道に高める地に足の着いた施策展開ではないか。各自治体の総合計画、被災地では震災復興計画の成果を着実に挙げていくことこそ、自治体の責務だろう。
政権が打ち出す選挙絡みの地方対策に踊らされる構図は終わりにしたい。国に求められるのは、地方交付税など地方予算の将来にわたる適正な配分であり、「地方創生」という強壮剤の注入ではない』と。確かにそういう部分や懸念もあるだろうが、国におんぶにだっこではなく、行政と市民が共有し対応することが大事だ。