12月7日(火)相違
岸田文雄首相が10月8日と昨日12月6日の僅か2ヵ月足らずの2度の所信表明演説で用いた言葉を分析、10月の衆院選を経て政権が重視する政策の見せ方に変化がうかがえる。10月8日の演説で12回使った「分配」は半減し、10月は一度も使わなかった「改革」を2回用いた。具体的な政策では19回登場した「デジタル」や8回の「賃上げ」が目立った。これは、日本経済新聞がキーワードの登場頻度や特異性などを文字の大きさで示す「ワードクラウド」の手法を使って演説の特徴を可視化した表からの結果でその相違が明確だ。経済対策の裏付けとなる2021年度補正予算案だ。政府が先に決定した予算案は、コロナ禍で打撃を受けた「生活・暮らしへの支援」を掲げ、一般会計の歳出は補正として過去最大の35兆9895億円に膨らんだ。何を目指した補正予算なのか、政策の見極めと精査が欠かせない。政府は実効性や波及効果を明確に説明し、年度末の発行残高は初めて1千兆円を突破する見通しとなり、景気が落ち込み、困窮を救う経済対策はやむを得ないとはいえ、借金をどう返し、財政健全化を進めていくのか。再建策を示すべきだ。また、国会議員の文通費改革の先送りは許されないことだ。襟を正し、国民に負担を課する前にしっかり実行すべきだ。国民目線と議員目線の相違は乖離のままで良いはずがない。