5月25日(日)油断

 江戸時代、伊藤一刀斎という剣の達人がいた。ある時、弟子から「剣道の極意」を尋ねられた一刀斎は答えた。“油断をしないのが第一だ”。作家の山本有三が随筆「心の置きどころ」に書いた話だ。山本は“油断とは心が一方にとられること”と論じ、刀を手にすれば刀に、学問をすれば学問に、また何かで褒められればいい気になって“心を奪われる”。それが油断だとつづる(『山本有三全集』改造社)。一般に「油断」は、気を許し、注意を怠ることを意味するが、彼はその奥まで洞察した。油断が生じるのは、手段や手法における注意力の浅さ以上に“心の置き所”によると記してあった。そもそも『油断』の語源には複数の説があるが、一般的なのは、仏教の「油」を絶やさない「断」をしないことという姿勢が由来であるという。具体的には、比叡山延暦寺に灯される不滅の法灯を守るために、油を断つことを許さない修行僧の姿勢だ。
 さて、10時からお昼まで、東北歴史博物館で春季特別展「QuizKnockと巡る江戸東京博物館展」を見学。人気で23日に2万人に達し、妻と娘と2時間たっぷりと読んで見て体験。ほとんど戦いのない江戸時代、徳川幕府の政治拠点として栄えた江戸にスポットを当て、「町づくり」や「庶民のくらし」、「江戸の経済」といったテーマ別に、タイムスリップし味わえる。武家諸法度の本物やかご鯱鉾など楽しめた。その後、息子夫婦と合流。誕生会を兼ねてゆったりと食事会。息子は先月サンフランシスコへ行って来たが、来週から今度はボストンへ行くという。江戸東京博物館展を観たばかりだったので一層、時代かと思う。健康であれば、良いと楽しい時間もあっという間。終えて、外に出ると萌江ちゃんがイベント。世の中は、狭いなぁ。ほやいろのブースの隣にずんだ茜さんのブース。明るくて良いなぁ。石巻市内に戻り、昨日連絡いただいた復興住宅の件で夕方、山形放送株式会社結城さんの取材を受ける。昨年7月の記録的大雨で集落全体が水に浸かった戸沢村蔵岡地区で先日、防災集団移転事業などについて住民説明会が行われ今後のスケジュールなどが示されたようだ。いろいろ課題はあるので思いを述べた。夜は購入してきた古文書と江戸東京博物館展の本を整理して読む。各時代で精一杯の活躍を感じつつ「油断」せず、しっかりと活動していくと誓う。

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