6月3日(火)戦う

 政治家には2種類いる。そう聞いて浮かぶのはポリティシャン(政治屋)とステーツマン(政治家)だろうか。前者は次の選挙を、後者は次の時代を考えるといわれ、求めるものも権力と理想に区別されたりする。だが単純な二元論では、真の指導者像を見誤るだろう。かつての米国は建国の父のようなステーツマンをあまた輩出していた。米国政治の研究者、本間長世さんは、その象徴たるリンカーンについて「彼はまず練達の政治屋だった。そのことが彼に大政治家なることを可能ならしめた」とみた(「リンカーン」)。立派な指導者ほど血みどろの権力闘争は感じさせぬものであると。日本経済新聞春秋。対比して小泉進次郎さんは政治家を「戦う政治家」と戦わない政治家」とに分け自らは落としどころを探る調整役ではなく抵抗勢力と戦い突破するタイプと展開していく。戦うを読んでいる時に悲報が流れた。プロ野球・巨人の終身名誉監督で選手、そして監督として輝かしい実績を残し、国民的人気を博した長嶋茂雄さんが本日、肺炎のため亡くなったと。同級生等がONで王選手ファンだったが、私は戦う職業人野球の最大の選手として長嶋さんが大好きだった。常にファンがどうすれば喜ぶかを考えていた人で、空振やサードゴロを取って投げるプレーも、走る姿もダイナミックだった見せる野球は憧れだった。小学生の時の寄席で「長嶋茂雄さんと掛けてストーブととく」そのこころは『もえたら、あたる』と。いまでも鮮明に覚えている。まさに、ここで打ってくれというときには期待を裏切ったことがない。天覧試合でもそうだった。中学校修学旅行で後楽園での試合も観戦した。堀内投手が帽子を飛ばしながら投げ、速さに驚いた。引退時にはTVに齧り付きみて、「…我が巨人軍は永久に不滅です…」のレコードも買った。思い出は尽きず、今は、心からご冥福をお祈り致します。長い間、ありがとうございました。お疲れ様でした。
 春秋には、滑り出しは上々だが、問題は第2幕だと。安定供給には増産や輸入拡大、所得補償といった抜本的改革が課題になる。改革では先達もあてにならずで父上の郵政民営化は、今も始末に困っていると。戦の上策は戦わずして勝つ。二元論を自ら超えなければ、ステーツマンへの道は拓けまいと結んでいた。ミスターは、「野球は、人生そのもの」と言った。その言葉通り、影では練習を絶やさず、俺ぐらい練習したものはいないので、打てるという自信に繋がる。魅せる野球、晴れ男、奇しくも午後から雨になった。

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