11月28日(月)貴い志

 『・・・その志こそ貴い、と思う』で結んでいた本日の日本経済新聞春秋。メキシコにある国際トウモロコシ・小麦改良センター(CIMMYT)が20世紀の後半に世界規模で食糧の大増産をなし遂げた「緑の革命」について、原動力の一つが日本で生みだされた小麦の新品種だったという。岩手農事試験場の農学者だった稲塚権次郎が育て1935年に登録された「小麦農林10号」がそれだ。終戦後、進駐軍の一員として来日した米国の農学者がこの品種を本国に持ち帰り、それをもとにCIMMYTのノーマン・ボーローグ博士らが生み出した新品種が「緑の革命」の柱となったと紹介している。博士が後にノーベル平和賞を受賞したことからも意義はうかがえる。『千田篤さんの「世界の食糧危機を救った男」という本によると、農林10号が太平洋を渡っていたころ、開発した本人は転任先だった中国大陸で徴用されていた。帰国は敗戦の2年後。稲塚もまた、あの時代に翻弄された一人だった。それでも88年に亡くなるまで農業の改善につとめていたという。』高貴な志を見習いたい。

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